ある苦労人の記述・11


※月@日
Kと名乗る謎の人物より手紙が届く。
(最近、このパターン多いな・・・・)
あと何かのディスクが入っていた。


証言8:謎の人物Kの場合
「君は現在キラとフレイの事に関して調べているそうだね。
 僕は二人に関する重要な情報を複数持っている。
 実はそれを相応の物と交換してもらいたいんだ。
 でも、いきなりこんな事を言っても
信用してもらえないだろうから
 証拠としてその内の一つをプレゼントするよ。
 それを見てくれれば、僕の情報を信用してもらえるはずだよ。
 また連絡するから。                        K 」


何なのだ?これは・・・
半信半疑だがディスクの中身を確認することにする。
どうやら映像データのようだな。


――うあ゛ぁああ゛ぁあぁ゛ああぁぁうあ゛ぁあ゛ぁぁ――

男の泣き声・・・?
泣いている男を女があやしているようだ。
キラ・ヤマトとフレイ嬢のなのか?
む?
おぉ!?
おぉぉぁぉ!!
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
――――む・むぅ、なんというか、その・・・・
激 し い な !!

どうやって撮ったのかはわからないが、K恐るべし。
他に一体どんな情報を持っているというのだろうか・・・。
しかし、さすがにこの情報はラクス様たちには見せられないな。

オ レ が 大 事 に 保管しておくことにする。


ある苦労人の記述・12


@月α日
AA所属のミリアリア・ハウに接触する。
彼女はフレイ嬢のヘリオポリスの頃からの(今となっては数少ない)
知り合いだ。
サークルの先輩だったそうだが・・・
当然キラ・ヤマトとも友人であるから少々危険が伴うが
それに見合った情報も手に入るはずだ。
調査を始めて2ヶ月目に突入しようとしている―――
いいかげんケリを着けたい。


証言9:ミリアリア・ハウの場合
フレイ? 確かにキラとフレイは付き合っていたけれど―――

――フレイは元々サイと付き合っていたの――
二人の親同士の約束で、婚約同然だったみたい。
AAに乗ってからはサイが休憩の時には必ず一緒にいたりして
ずっとサイに甘えていたわ、もうこっちが呆れるくらい。
でもアークエンジェルが地球に降りたあたりから急に
フレイはサイに冷たくなってキラと一緒にいるようになっちゃって――

それで、キラもフレイのことが好きだったから結局二人は
付き合うようになったんだけど、サイのこともあったから、
なんか二人と気まずくなっちゃって大変だったわ。

それにあの二人って普通の恋人同士とは違って何か・・・
ヘンな感じだった。
大体あのコ、コーディネーターのことあまり好意的に思ってなくて、
キラでさえ、余り近づこうとはしなかったのに――

それに・・・あんまり幸せそうに見えなかったというか――
戦争中だったせいかもしれないけれど―――


ふむ・・・・やはりフレイ嬢がキラ・ヤマトと付き合うようになった
動機が分からない・・・
ミリアリア嬢の話だと元カレ(?)のサイとは地球に下りるまでは
なんの問題もなく付き合っていたようだ。
一体フレイ嬢の心にどんな変化があってキラ・ヤマトに乗り換えたんだ?
―――見当がつかない・・・。
やはりサイ・アーガイルにも当たってみるしかないんだろうなぁ・・・
まあいいもう少しミリアリア嬢に話を聞いてみるか。


――他に何か? う〜ん、そぉねぇ――そういえば・・・・

ん? あの金髪こげ茶肌は・・・・


「ミリィ、探したぜぇ」
「ちょ・・・馴れ馴れしく呼ばないでって言ってるでしょ!」
「つれないこと言うなよ」
「私今日は忙しいの! あ、もういいでしょ?」
「オイ、待ってって!!」
「ついて来ないでよ。 アンタも自分の仕事ちゃんと―――」


・・・・・・・・・・ありゃ?
突然のことに呆然としてしまったが・・・
突然の乱入で何か言い出そうとしていたのに聞き逃してしまったではないか!?
まあ相手が相手だから俺がどうこうできる人じゃないからなぁ・・・。
仕方が無いのでラクス様に彼の
 減 点 の 申 告 で も し て お く か !!


ある苦労人の記述・13


@月β日
昨日、Kから連絡が来た。
指定口座へ指示通りの金額を振り込むことにする。
――経費で落ちなかったけど――

帰ってきたらまたもやディスクが送られてきていた。
また映像データか・・・さっそく再生だな・・・



「ごめんなさい・・・・あなたは一生懸命戦って、私たちを――」
「フレイ!そんな――」
 ・
 ・
「フレイの思いの分も――」
「なら・・・私の思いは、あなたを守るわ・・・」
 ・
 ・
「大丈夫。キラ・・・私ずっと、あなたのそばに――」
「フレ――」
 ・
 ・
「キラァ、こんなところにいたのぉ?――」
「あ、ああ、ごめ――」
 ・
 ・
「キラがいれば――」
 ・
 ・
「フレイもオーブに家――」
「オーブにもあるけど――」
 ・
 ・
「おかえり――」
「キラ・・・どうして・・・?――」
 ・
 ・
「キラ・・・・キラ・・・私――」
「ごめん・・・後で――」


―――なんか延々とキラ・ヤマトとフレイ嬢との甘い会話が
録画されている・・・・
なんか見てるこっちが恥ずかしいぞ!
(しかも今回アレは無しか・・・・チキショウ!)

まあこれ見る限り、話しのとおりフレイ嬢の方が積極的に
迫っていて、キラ・ヤマトが受身って感じだな。
後、最後の方の映像では喧嘩でもしたのか?
それとも噂の破局場面か?

しかし、ホントどうやってこれ撮ったんだろ?
時々トリィ、トリィと聞こえてくるのと何か関連性が
あるのだろうか・・・・?

――おや? おまけ? まさか――
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
――クックックッ・・・・ハハ・・・ハハハハッハハッハ――
ぃやったぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
思わず、頭をかきむしった後ガッツポーズ!

――あぁ・・・何 か 降 り て き た 気 分 だ !


ある苦労人の記述・14


@月▼日
サイ・アーガイルから話を聞くため、様々な手を使ってみたが、
全然取り合ってくれなく、困っていたところにKより連絡が来た。

「サイに話を聞けなくて困っているようだね。
 しかし僕の手にかかれば彼の固い口を開けるのも簡単だ。
 だってあいつはドリーミンングな男だからね。
 おっと口がすべったかな?
 まあ僕の力が必要ならいつものところに頼むよ。
                                  K」


――あいかわらずふざけた奴だ。
確かに魅力的な提案だが、何故奴はこちらが
サイ・アーガイルと接触をもったことを知っているんだ?
・・・・・まさかKの正体はサイ・アーガイル?!
いや、彼は金では動かなかった――
彼の身近な人物かもしれない。それとなしにそっちも
調べておくか。
とりあえず、今回はKの申出に乗っておくことにする。

――しかし・・・・・・ド リ ー ミ ン グ って何!?


@月ν日
アスラン・ザラより連絡を受ける。
なんとカガリ・ユラ・アスハと謁見出来るよう
手配してくれたらしい。
オーブにおける王族の唯一の生き残りである彼女は
戦後、オーブ代表として表舞台に立った。
その若さから彼女が代表に就任することに色々非難等も
があったがその性格からくる実行力とカリスマ性、
そしてその脇を固める優秀な人材もいたおかげもあり、
現在はそのような意見も少なくなった。
そんな彼女だから、まず接触するのは無理だと思っていたのだが・・・
思わぬ幸運だ。さっそく話を聞いてくることにする。


証言10:カガリ・ユラ・アスハの場合
――大体私は影でコソコソこんなことすることは嫌いなんだが
アスランがキラのためにどうしてもって言うから話すんだからな!
分かったな?

――そのフレイってコがキラと付き合っていたっていうのは
本当だ。ただ、たしかに美人だったが、性格が良いとは思えなかった。
キラと一緒にいると、すごい顔で睨んできたり、妙に色気出して
キラに迫ったりしてたな。
何でキラはあんな女と付き合ってたのか疑問だった。
そういえばサイってやつと3人で大喧嘩してたこともあったか?
「私、夕べはキラの部屋に――」なんて聞いているこっちが
恥ずかしかったぞ。


キラ・ヤマトとカガリ様(一応敬称付けないといかんだろう)と
結構仲が良かったことは回りくどい調査により判明している。
それから考えてみるあたり、フレイ嬢はカガリ様に嫉妬していたのか?
――まあ、ありえない話ではないな。


――オイ、ところで私の国でこんな勝手なことを許してやってるんだ。
調査が終わったら私にも見せてもらうからな。


はぁ!?
いや・・・しかし・・・なんで?


――い・いや、別にキラが付き合っていた女がどんな女だったのか
興味があるとかそういうことじゃなくて・・・・
そ・そう、姉として落ち込んだままの弟のことを放って置けない
からであって、ほ・本当に他意はないからな!!


・・・・・・・・・・・・・あ ん た も か !!


ある苦労人の記述・15


@月∞日
サイ・アーガイルの方から話があると接触してきた。
どう口説き落としたかは知らないが、Kに感謝しておこう。
サイ・アーガイルはヘリオポリス崩壊時よりAAに乗り込み、
クルーとしてあの激戦を潜り抜けてきた学生組のリーダー的
存在であり、フレイ嬢がキラ・ヤマトの前に付き合っていた
人物である。
(戦後もAAに残り、軍人として生きる道を選んだようだ。)
フレイ嬢と極めて近い関係であった彼ならば、かなりの話が
聞けるはずだ。


証言11:サイ・アーガイルの場合
フレイとは家族ぐるみの付き合いで、婚約同然の関係だった。
まあ親が勝手に決めた話だったけど、フレイは喜んでいたし
俺も満更じゃなかったから。
でも色々騒がれるのは嫌だったから周りには秘密にしていたけど。

でも、あの時ヘリオポリスが崩壊して、フレイの親父さんが亡くなってから、
すべてがおかしくなってしまったんだと思う。
結局、俺はあの時彼女の心をちゃんと助けてあげることが出来なかった――
彼女が父親が死んでずっと苦しんでいたことに気づいてあげられなかった。
うわべの言葉だけしかかけていなかったのかもしれない・・・・
――だから、多分フレイはキラに救いを求めたのだと思う。

最初はキラがストライクのパイロットだから、父親を殺したザフトを倒せる力を
持っていたから、キラに近づいたんだと思った。
だって彼女の行動はあまりにも突然でどこか嘘めいた感じがしたから。
それなら俺がストライクを動かせればフレイが帰ってきてくれるんじゃないのか?
そんな風に考えてしまって――結局余計無様な姿を晒してしまったけどね。

それ以降は、なるべく二人の関係を気にしないようにしようとしたけれど、無理だ
った。どうしてもキラと話す時はぎこちなくなってしまってね・・・。
ただ、少し離れて二人が一緒にいる姿を見ていて気付いたんだ。
どこか作られたようなフレイのしぐさの中に―彼女自身は気付いて無かったみ
たいだけど―たまにキラのことを本当に愛しそうに見ることがあるって――
そしてそれが段々と多くなっていったとき、俺は思った――
彼女はキラのことが本当に好きになったんだなって。
俺と一緒にいた時にはあんな表情を見たことがなかった・・・・
だから二人のことを応援してあげなきゃって思った矢先、
トールが死んで、キラも行方不明になった。

あの時フレイは俺にすがってきて――冗談じゃないと思った。
フレイはキラを失った悲しみを誤魔化すために必死で―別に誰でも良かったんだ――
俺のことなんかもう見てなかった。
それでつい感情的になってしまって突き放してしまったんだけど。
でもその後の彼女は見ていられない状態で・・・・
そんな彼女にどうすることも出来ずにいて――
そして彼女は異動になった―――

異動になったフレイが何故かザフトの捕虜になっていたときはビックリした。
ただ、必死に彼女を助けようとするキラを見て少しほっとした。
帰ってきた後のキラはラクスさんとすごく仲がいい感じで――
もうフレイのことなんてどうでもよくなっていたんじゃないかって疑っていたから。


フレイには幸せになって欲しかったから――
キラならそれが出来ると思っていたから――
なのに―――あんな結末だなんて――――あんまりだ――――


彼の証言から大体今まで調べ上げたことの整合性が取れるような気がする。
帰ってからこれを元に整理し、完成させることにしよう。

しかし、言い終わった後、泣きそうな顔をしている彼を見ながら
「いい人」ってこんな奴のことを言うのかとふと思ってしまった。
なんか 親 近 感 が 沸 く な ぁ ・・・・


ある苦労人の記述・16


同日
小包が届いた。例のごとくKからのようだ。
彼との取引ももう必要ないと思いながらも開けてみることにした。


「君がこれを見る頃にはサイからさぞ感動的な話を聞いた後のことだろうね。
しかし、物事には常に表と裏があるからね。僕の視点からのフレイ・アルスター
についても話しておかなくてはフェアではないと思ってね――
特別にこの情報を君に贈るよ。

フレイ・アルスターという少女は、良くも悪くも世間知らずのお嬢様だったね。
場の雰囲気も見極められずによく自分勝手なことを言っていたよ。
いつも振り回されているサイを見ながら、バカだなぁと思ったものさ。
それに自己正当化が激しくてねぇ、自分が悪いということを中々認めるような娘
じゃなかったよ。

父親が死んだ後はそりゃあひどかったものさ。
ワザとらしくキラに吐いた暴言に対して謝ったり、大げさな物言いで軍に入隊し
たりねぇ――おかげで軍から抜けるタイミングを失ってしまったよ。
地球に下りてからは、サイを捨ててキラに走ったように見せかけていたけど――
あれもキラを騙してザフトを戦わせるための方便さ。
まんまと騙されていたキラもかわいそうだったね。
まあ計画性の薄いものだったからキラに振られて失敗に終わったようだけど。

キラがいなくなってからはヤケにでもなったんだろうね、捕虜になったコーディネ
ーターに向かって銃なんて撃ったりして――
まったくおろかな行為だよ。もっとうまくやらないとねぇ。
まあ結局はミンナを騙し、自分をも騙そうとした代償に自分の命、使っちゃったん
じゃないの? 自業自得だね。


ずいぶん一方的な話だって? そういうと思うから僕の証言の正当性を示す映像
を同封しておいたから見ておいてよ。まあこの情報をどうするかは君しだいさ。
真実を示すか、騙されてやるか――好きにするがいい。」


―――いままで彼女に対してここまで毒を持った発言はなかったが・・・
いったいどう解釈すればいいのだろうか・・・・

一体全体 真 実 は ど う だ っ た ん だ !?

Kの言うとおり、皆うまく騙されていたのか・・・・?
それとも―――





A:Kの資料がそれを示している――やはり皆まんまと騙されていたんだ! 

B:いや、それは違う!! それが真実の一つだとしても、それだけではないはずだ!


ある苦労人の記述・17A


Kの資料がそれを示している――やはり皆まんまと騙されていたんだ!
俺としたことが迂闊だった――
しかしあれだけの人達を騙しぬくとは、いやはやフレイ嬢には女優の才能が
あったのかも知れないな。
まあともかくKの資料を基に報告書を再構築しなくては!!

#月△日 某所
「お久しぶりです、バルトフェルドさん。」
「おう、少年。元気だったか? ちょうどいい、君も一杯どうかね?」
「いえ、遠慮しておきます。それより――――さん、いらっしゃいますか?」
「んん?そういや最近見ないなぁ。」
「彼ナララクス様ノ言イ付ケデ、ボアズノアッタ付近ヲ一人デ清掃中ヨ。」
「あぁ〜そうだった。減点がどうの言っていたが―――」
「ありがとうございます、そちらのほうへ行ってみます。」


「――まて、少年!」
「何か?」
「フリーダムの整備は万全だ、持って行きたまえ。」
「お言葉に甘えさせてもらいます。」
「あまりハデにならないようにな。」
「えぇ、分かっています。」
 ・
 ・
 ・
「むう―――」
「彼モ大変ネ。」
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
「――今日のは少し苦かったか?」



同日 ボアズ近海
どうしてこんなところに来てしまったんだろう―――
ふとそんなことを考えながら俺は作業を続けていた。

必至の思いで完成させたフレイ・アルスターに関する報告書だが
ラクス様には気に入っていただけなかったのだろうか?
無常にもこんな所を一人で清掃する羽目となってしまった―――
いったい何がいけなかったのだろうか?
 ・
 ・
 ・
分からない・・・・

ふと遠くを眺めた時、何かが近づいてくるのを発見した。
MS?
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
あ―あれは! フリーダム!?
しかもミーティア装備!?

一体全体何でフリーダムがこんな所にやってきたのかわからないが
何故だか非常に嫌な予感がする――
気のせいだろうか?全砲門がこちらを向いているような―――

・・・・・・ 俺 の 運 命 は !?


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