418 名前:最終回に添えて[sage] 投稿日:2003/09/14(日) 15:21

「フレイの死」というシチェーションは構成作家の罪滅ぼしではな いかと、現時点では思う。

物語のテーマとしては、キラとフレイが結ばれれば最も自然に多く のテーマに区切りがつく、という意見の持ち主は多い。異なるもの と理解し合える。カテゴリーでなく個人を見れば愛し合える。壊れ た関係は修復できる。過ちはやり直すことができる。 最終的な表現方法として、キラとフレイか、当初予定通りのキラと ラクスかという制作コンペは何度も行われたと思われる。行われた という噂もある。フレイというキャラが予想外に「立った」ことに よる物語の要求もあったろう。結果としては当初予定に収まったよ うだ。 作家両澤としては、それに抵抗したかったのではないか。 フレイというキャラが32話までの時点で、実質物語を左右する力 を持っていたのは確かである。 そのフレイというキャラの去就に、あえて大きな変動のない誘拐劇 で本編からオミットし、淡々とした描写に徹した。それはフレイの 存在によって「食われる」キャラたちにスポットを当てるという側 面も、またあったとは思う。 結末としても、生き延びさせる、身をひかせる、成長させラクスと 対峙させる、はっきりとキラとラクスの恋愛を描写する……様々な 可能性を、あえて取らなかったのではないか。 テーマ的にヒロインの位置にいながら、そうするわけにはいかなか ったキャラクターへの、作家からの贖罪と見るのは、それほどうが ちすぎた見方ではないと思う。

「フレイの死」によって、フレイは主人公キラにとって不可分の、 ラクスと等価のヒロインとして永遠に残る。あるいは視聴者にとっ ても大きな意味を残す。 展開を予想してみる。

負傷したフレイを乗せた救命艇/回収しようとするAA/襲いくる プロヴィデンス/そこにキラがたどり着く クルーゼとキラは戦う/キラはあえて不殺を貫こうとする フレイは傷ついたまま回線を開く。緊急回線は皆に届く/フレイは 命がけで謝罪する/フレイはやって来た、謝罪のために、戦場に/ サイに、ミリに、死んだトールに、そこにいないカズィに。誰より もキラに フレイは許される/サイも、キラも、フレイは切っ掛けに過ぎない ことを告げる/志願した意志を、当時はネガティブに描かれていた ものを、今は確固として持っている だから、フレイは告げる、キラに/「愛している」/クルーゼはそ れを認められない/異なるものは愛せないというクルーゼの理念に、 コーディネーターを憎み、自分が利用した少女が反論することが許 せない クルーゼはキラの出生を告げる/「キラは人間ではない」/フレイ はそれを越えていく/「キラはキラだから」/キラだから愛してい る。何者であろうと。もし全てを許してくれるなら、もしやり直す ことができるなら、もし愛してくれるなら、もう一度あの、平和な 場所へ帰りたい、二人で フレイは、ラクスにも与えられなかった本当の赦しをキラに与える /そしてキラは応える/「愛してるから」/この瞬間、本当に、キ ラは義務でも負い目でも責任でもなく、フレイを愛する だから、クルーゼはフレイを殺す/クルーゼはフレイを許せない/ 自分の憎悪の全てを否定する目の前の光景を許せない フレイの死/ラクスのSEEDが覚醒する/フレイの行動は、言葉 は、常にラクスに衝撃を与え、動かす/(フレイと)ラクスの「言 葉」が戦争を終わらせていく キラはラクスとの約束を振り切る/キラはクルーゼを殺す/死に近 づくキラをフレイの思い出が引き留める/フレイの想いがキラを守 る/アスランはキラを救う/キラはフレイを思い、物語が終わる

物語の後、キラが生きる時間を支えるのはラクスである。いつかは キラもラクスを本当に愛するようになる。 だが、それは今ではない。 48話のキラとラクスのキスシーンは、ひいき目抜きで、キラの側 が好意以上愛情未満であることの表現なのだろう。それはアスラン とカガリ、ラミューとムウの二組との対比でわかる。キラは口づけ せず、フリーダムを与えられた時のようにキスをする。 おそらく。 作中のキラはフレイを愛していたことに、あるいは、愛せることに 気がつく。 フレイは「愛の人」である。 良かれ悪しかれ、フレイは、本当に大事なひとりのために自分の全 てを捧げて悔いない。 キラは応えようとする。 そして失う。 フレイはキラの魂に残り、根を下ろし、「永遠の女」となる。 ラクスはキラと共に生き、それを支え、「共に生きる者」となる。

個人的に「悲しい」という点をのぞけば、三角関係の収束点として 物語の結末として、ある種美しいとは思う。 個人的には、フレイの立ち直った姿と笑った顔を見てみたかったと も思う。 この終幕に付け加えるものはない。 できるなら、あそこよりも幸せな世界で、再び出会って、今度こそ 愛する者と添い遂げられるよう祈るばかりである。

ひさびさに投下してみましたが、SSではなく、考察です。 まだ見ぬ最終回を、予想して、考察して、解釈してみました。 長文ですし、ネタものですのでSSスレに投下です。 もし、本編がその通りであれば、泣きつつ、祈りましょう。

フレイ様がいつかもう一度出会えますように。



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