わたしの彼にはチャックがある
注意・この話に出てくる人物はガンダムSEEDと一見関係あるようで関係ありません



それはキラと二人でベットの中で睦みあっているときのことだった
キラの尾てい骨の上のほうを触ったとき何か金属質の感触がした、
フレイは何だろうと思いキラの背中のほうに回ってお尻のあたりを見ようとした
その時、
「フレイ…?あっ!」
キラが何かに気がついたようにフレイに背中のほうを隠した
フレイはキラが背中を向ける一瞬前にあるものを見たが―――
「き…キラ?それってもしかして……」
「ごっゴメン、そういえば機体の整備とかしなきゃいけなかったんだ!フレイ、また今度にしよう!!」
キラは逃げるように服を着て急いで部屋を飛び出していったがフレイはキラの背中に見た『アレ』のことを考えていた
「キラの背中に…………『チャック』?
えええーー!!なんでっっ!そんなのありなの〜!」

『わたしの彼にはチャックがある 』



フレイは考えていた
つい三日前までは戦争のこと、復讐の事、更衣室を覗くディアッカのこと、夏の祭典の締め切りのこと、色々考えていた
しかし今は一つのことしか考えられなくなった、キラのことだ
いや、正しくは
(……『チャック』、キラの『チャック』……キラの?)
見間違いだと思いたかったし、何か医療用の特殊な器具なのかもしれないとあの後キラに『それ』について聞いてみたが

「ねぇキラ、わたしの気のせいだと思うけど貴方の背中に下ほうに金属の何かが―――」
「え……、な…名ナ奈那納那、何のことだい?
フレイ疲れてるんじゃないかい?人の背中にそんなものあるわけないじゃないか」
「………」

酷い動揺のしようだった、あれでは肯定してるのも同然だ(なんかキャラ違ったし)
その後、キラはフレイの部屋には寄り付かず、フレイがキラの部屋へ行っても
「今日はちょっと具合が悪いんだ」といってなんだか避けられているような気がした
(『それ』がなんなのか確かめないと……キラにこの後ずっと避けられるのは嫌だったし、
何か大変なことがあれば助けてあげないといけない――




というかすっっっっっっっっっっっごい気になるわね……)

フレイはそれを確かめるべく作戦を練ることにした
敵はキラだ、今迄で最大の作戦の予感がした



「トール…ちょっといいかしら?」
「ん、フレイ。僕に用なんて珍しいね」
「ちょっと頼みたいことがあるの、これ」
フレイはトールに防水の超ミニデジカメを渡しつつ、トールの目を見つめて言った
「…………パイロット用のシャワールームあるわよね?これでキラの背中の下のほうを撮ってきてくれないかしら?」
「ええっ!フレイ何考えてるの!?そんな―――」
フレイはトールにぐっと顔を近づけて囁くように言った
「お願い……やってくれたら何でもいうこと聞いてあげるわ……」
「で…でも」
フレイはトールの手を手のひらでやさしく包み……そのまま捻り上げ同時に足を払い素早くトールを地面に叩き付けた



「そ……その技はまさか納化途流柔術!」
トールは驚愕と痛みに顔を歪ませながら叫んだ、と同時に―――隣の部屋のTVだろうか―――から「知っているのか、ジョニー雷電!」と声がした
「納化途流柔術、長い伝統と伝説を持つニホン柔術の中でも最強と呼ばれた柔術
536年、当時、時の二大勢力の決着のために編み出されあまりに強さに一子相伝の禁じ技となり、
1200年頃当時の当主が早死にをし失われたはずの幻の技のはず
その強さは武器を持った100人を相手にしてもかすり傷も負わず、当時の挌闘家を戦慄させた
なお、今現在残っている100人組み手はこの時の故事にあやかりこれほどの強さを得たいと考えた格闘家たちが模倣したのが原点と言われている
―――民明書房刊  「古代ニホンの最終兵器」より ―――  」
「それだけわかっているならこの技の後何をするか知っているでしょ?」
「わ………わかったよ、やるよ!やればいいんでしょ!
………やっぱり僕こんな役回りばっかりなのか……」


『わたしの彼にはチャックがある ――ドキッ、男だらけのしゃわーるーむ☆』



迷っていた、猛烈に迷っていた
なにしろ隠し撮りだ、シャワールームだ、デジカメだ、SS級ブラブラだ
女子シャワールームを隠し撮りするならまだやる気も起こるが(しないけど)今回は男だ、ブラブラだ、死ぬほどやる気がおきない
しかしやらなければ納化途流柔術の第二の技、秘孔付きで爆砕だ、今までの扱いから見ても爆発するまで5コマくれないだろう、遺言すら残せない、やるせない
なんだか最近各地から「アレ?生きてたの?」って視線も受けるし冗談抜きで消されても誰も気がつかないだろう…ミリィすら、やるせない

今日は実戦形式の演習だ
みな終わったらシャワーを浴びるはずだ
僕は演習に出ていない、どうせ戦力として期待されてないしやることもいつも一緒だ
訓練メニューを艦長が考えてくれないらしい
しかも出なくても誰も気がついてくれない、いつも乗ってる機体にはいつの間にかカガリでも乗ってるのだろう、やるせない


ん、そろそろみんな戻ってきたみたいだ
とりあえず任務を遂行しよう

早速腰にタオルを巻いて手のひらにはカード型デジカメ
こんな情けないことは早く終わらせよう
シャワー室は一応覆いがあって外からは誰が入っているかわからない、こっそり覗くしかない
一つ目の部屋を覗こうとしたら、腰にタオルを巻いてない仮面が出てきた、
腰は隠してないのに仮面は被ってシャワーなのか……やはり奴は予想通り変態なのだろうか
目ざとく僕の手の中のデジカメを見つけると奴は仮面の上からも顔を輝かせ、
「む!撮影か、うむ構わんしっかり撮ってくれたまえ」と微妙に腰を振りつつこちらに歩いてきた
猛烈に変態だ、身の危険を感じて走って逃げた
こんなに走れるほどシャワールームは広いのだろうか?なんとなくこれ以上考えると急に壁が現れそうなので
何も考えずに200メートルほど全力疾走して逃げた、やるせない


酷い目にあった、とりあえずデジカメは絶対に見つからないようにとりあえずタオルの中に隠す
腰が隠せないけどさっきみたいな目には絶対にあいたくはない
キラを探し出してから取り出せばいいだろう
ちょうど近くに誰か入っているらしい部屋があった、耳を澄ますと「ふぅ……」と声が聞こえた
声が若い、少なくてもあの仮面やフラガさんってことはないだろう
キラだと確信してこっそり覗いた
アスランだった、しかも偶然こっちを向いていてこっちに気がついた
「トール君?どうしたんだい?……………」しばらく沈黙した後、ぽっと顔を赤らめた後
「そうだったんだ……ごめんね気がつかなくて、さぁ」とかいってさっきの仮面のように歩いて
――いや、股間が危険だ
わーにん、わーにん、第一級危険警報。総員急機動にそなえて対G体勢をとってください、非常に危険です、
戦闘要員は今すぐ持ち場へ限界まで恐怖を感じ、ふと気がついたら全力疾走して息が上がって歩くこともできなくなっていた
この果ての見えないシャワールームの広さに心から感謝したが、急に泣きたくなった、凄くやるせない
下半身を隠さないのは非常に危険な気がしたので、タオルで下半身を隠すことにする
デジカメはしかたないのでタオルと下腹部の間に挟む


もうやめたくなったがまだ死にたくないので
これで最後と心を決めてシャワールームを覗き込んだ
心から安堵したキラだ、しかもこっちに気がついていない
後は後ろを向いてくれるのを待つだけだ
キラはなかなか後ろを向いてくれない、背中を熱心に洗っているみたいだ
ん?…今キラの……何というか……皮が動いたような、中を洗っている……そんなわけが……?
キラが背中を向けた、反射的にデジカメのスイッチを入れたが次の瞬間逃げ出した
何故ならキラの背中は……!
恐怖に駆られシャワールームを飛び出し、服を着るのもそこそこにフレイの部屋へ飛び込んだ
「ふっフレイ!キラ…キラの背中が!」
「どうだったの?ちょっとデジカメ見せなさい!」
フレイが僕の手からまだぬれているデジカメを奪った
フレイはしばらくそれを見た後、急に怖い顔をして
「仮面とあんたの汚いモノが映っているだけじゃないの!どうゆうこと!?」
しまった、タオルからデジカメを取り出すのを忘れていた
「ええぃ、天誅!!」
フレイが僕の背中の(危険に付き守秘)の場所にある秘孔をついた
「そ……そんな、僕は頑張ったのに………」

ごめん、やっぱり僕戦争を生き抜けなかったよ……


やるせないなぁ……



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